なぜ雪国の信号機は縦型なの?
まず答え
雪が積もる面を小さくするためです。北海道警察は、縦型にするとフードの面積が 三分の一になり、雪が積もりにくくなると説明しています。横型のままだと、 フードに積もった雪が垂れ下がって灯火が見えにくくなり、塊が車や歩行者の上に 落ちてくることもあります。地域の好みではなく、雪への対策です。
理由を分解する
「原因」と「目的」、確認できたことと確認できていないことを分けて示します。
灯火の上には、日差しを遮るフード(ひさし)が付いています。横型は灯火が 横に3つ並ぶので、フードも横に3つ分ならびます。縦型は灯火を縦に積むため、 上から降ってくる雪を受けるのは、いちばん上のフードだけになります。
北海道警察は、縦型にするとフードの面積が三分の一になり、雪が積もりにくくなると 説明しています。灯火の数も大きさも変えずに、雪の当たる面だけを小さくする方法です。
雪は積もるだけでなく、フードの縁から垂れ下がります。垂れ下がった雪が灯火の前に かかると、色が見えません。北海道警察は、横型では積もった雪が垂れ下がって 信号機が見えにくくなる、と明記しています。
信号は「見えて初めて意味がある設備」なので、見えなくなることは機能を失うのと同じです。
信号機は交差点の真上にあります。フードに積もった雪の塊が落ちれば、下にいる 自動車や歩行者に当たります。北海道警察はこの危険にも触れています。
見え方の問題と落下の問題は別で、縦型はその両方を、同じ一つの方法で小さくしています。
北海道警察は「信号機は、もともと、横型です」と書いています。つまり縦型は 全国共通の標準形ではなく、雪が降る地域で選ばれている例外的な形です。
なぜ横型が基本なのかについては、今回の調査では理由を明記した一次資料を 確認できませんでした。横に長い方が正面から見やすい、支柱への取り付けが容易、 といった説明は見かけますが、出典をたどれていません。
よくある説は本当?
世間で言われている形のまま検証します。断定できないものは断定しません。
根拠不足
「縦型にするのは、雪の重みで信号機が倒れたり壊れたりしないようにするためである」
北海道警察が挙げているのは「積もりにくくする」「垂れ下がって見えにくくなる」 「塊が落ちてくる」の3つで、重みによる破損には触れていません。
気象庁は着雪注意報について、雪が付着することで電線が断線したり送電鉄塔が倒壊したり する被害を挙げています。重みが問題になること自体は事実ですが、それは電線と鉄塔に ついての説明であって、信号機を縦型にする理由として書かれた資料は確認できませんでした。
根拠不足
「雪が降る地域の信号機は、すべて縦型である」
北海道警察の記述は「北海道など、雪が降る地域に、縦型の信号機が導入されています」で、 すべてがそうだとは書かれていません。
どの交差点を縦型にするかの基準は、県警ごとの仕様書にあると考えられますが、 機械で照合できる形では確認できませんでした(秋田県警の交通信号機工事共通仕様書はPDF、 山形県の着雪対策についての回答ページは現在404です)。確認できていないので「不明」とします。
根拠不足
「LED式の信号機は熱をほとんど出さないので、電球式より雪が付きやすい」
報道では広く説明されていますが、警察庁の「LED式信号灯器に関するQ&A」にも、 青森県警察の信号機の説明にも、着雪についての記述はありません。本サイトの なぜ信号機はLEDに変わったの? でも同じ判定にしています。
この記事のヒーロー写真では、下の2灯と矢印灯に雪が付いています。ただし写真1枚は 「LEDだから付いた」ことの証明にはなりません。付着防止のカバーが取り付けられている こと自体は、対策が必要とされている状況を示しています。
もし雪国でも横型のままだったら?
フードが横に3つ分ならぶので、雪を受ける面は縦型の3倍になります。積もった雪は フードの縁から垂れ下がり、灯火の色が見えなくなります。
そして交差点の真上から、雪の塊が落ちてきます。信号を見上げて待っている歩行者が、 ちょうどその下にいます。縦型は、この2つを同時に小さくするための形です。
「もともと横型」で、縦型のほうが例外
北海道警察は、信号機について「もともと、横型です」と書いています。つまり縦型は、 全国の標準形を雪国が拒んでいるのではなく、雪が降る地域だけが選んでいる別の形です。
観光や出張で北海道・東北へ行くと縦型が目につきますが、これは地域の好みでも、 デザインの違いでもありません。雪という一つの条件に対する、設備側の答えです。
「三分の一」はどこから来た数字か
北海道警察は、縦型にするとフードの面積が三分の一になると書いています。 灯火は3つのままで、並べる向きを変えるだけです。横に3つならべばフードも3つ分 横にならび、縦に積めば上から雪を受けるのは、いちばん上の1つ分になります。
ただし、この三分の一をどう測った数字なのかは、資料に書かれていません。 水平に投影した面積なのか、実際に雪が載る部分の面積なのかまでは分かりません。 本サイトでは、資料が書いている範囲(面積が三分の一になる、雪が積もりにくくなる) までを理由として扱い、それ以上の計算は足していません。
雪は「積もる」だけでなく「付く」
気象庁は、著しい着雪によって災害が起こるおそれがあるときに着雪注意報を出します。 電線が切れたり、送電鉄塔が倒れたりする被害が想定されていて、気温0℃付近で起こりやすい とされています。湿った雪はものに貼り付きます。平らな面に降り積もるだけではない、 というのが、信号機のフードや灯火面で起きていることの背景にあります。
縦にしても、雪は付く
この記事の一番上の写真を見てください。灯火は縦に並んでいて、それぞれに お椀型の透明なカバーが付いています。そして下の2灯と矢印灯には、雪が残っています。
縦型は雪を受ける面を小さくする方法であって、雪が一切付かなくなる方法ではありません。 カバーが追加で取り付けられていること自体が、対策がまだ必要とされていることを示しています。
「LED式は熱を出さないので雪が付きやすい」という説明は広く流通していますが、 警察庁のLED式信号灯器についての資料にも、青森県警察の説明にも、着雪の記述はありません。 本サイトでは、この説を「根拠不足」と判定しています。
何が確認できて、何ができていないか
| 主張 | 状態 |
|---|---|
| 縦型はフードの面積が三分の一になり、雪が積もりにくい | 北海道警察が公表 |
| 横型は積もった雪が垂れ下がり、見えにくくなる | 同上 |
| 雪の塊が自動車や歩行者の上に落ちうる | 同上 |
| 三分の一という数字の算出方法 | 確認できず |
| 縦型にする交差点の選定基準 | 確認できず(仕様書はPDF) |
| LED式は電球式より着雪しやすい | 確認できず |
理由を明記しているのは北海道警察の資料です。他県の資料はPDFか、すでに消えている ページでした。「雪国全体でこう決まっている」とは言えないので、本文もその範囲で 書いています。
根拠・出典
URLの実在と、引用が本文に実在するかを機械的に検証しています。
北海道警察 / 確認日 2026年9月20日
横型だと、冬に信号機のフードに積もった雪が垂れ下がって、信号機が見えにくくなったり、雪の固まりが自動車や歩行者の上に落ちてくるかもしれません。