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なぜな~ぜ?

なぜ電線を地中に埋めるの?

理由の確実性:確立 公式資料などで明確に確認できます 複数要因 / 最終確認
山あいを通る日本の道路。道に沿って電柱が並び、電線が空を横切って山の稜線にかかっている
道路沿いに立つ電柱と電線。無電柱化推進法は、災害の防止・安全かつ円滑な交通の確保・良好な景観の形成の3つを目的として挙げています。 ESU / CC BY 3.0出所

まず答え

法律に目的が書かれています。無電柱化の推進に関する法律の第一条は 「災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため」と定めています。 景観だけの話ではありません。災害時に道路をふさがないこと、歩道を実際に通れる幅に 戻すことが、法律の文言として並んでいます。

くわしく知る
法律が3つの目的を挙げています。災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、 良好な景観の形成です。見た目のためだけに行われているのではありません。
電線を地面の下にうめることを「無電柱化」といいます。 じしんや台風で電柱がたおれると、道がふさがって救急車が通れなくなります。 歩道に電柱があると、ベビーカーや車いすも通りにくくなります。 だから、少しずつ地面の下にうつしています。

理由を分解する

「原因」と「目的」、確認できたことと確認できていないことを分けて示します。

法律が「災害の防止」を第一の目的に挙げているから

最大の理由 現在の理由 安全のため

無電柱化の推進に関する法律の第一条は、この法律の目的を 災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るためと定めています。

並び順に注目してください。最初に来ているのは災害の防止です。

国土交通省は、激甚化・頻発化する災害に備え、道路啓開の実効性を早期に 高めることができますとし、電線の断線や火災のリスクも軽減され、 緊急車両の通行確保や迅速な復旧活動につながる、と説明しています。

歩道の「実際に通れる幅」が変わるから

最大の理由 現在の理由 安全のため

2つ目の目的である「安全かつ円滑な交通の確保」は、車の話だけではありません。

国土交通省は、無電柱化により歩道の有効幅員を広げることで、ベビーカーや 車いす利用者、高齢者なども安心して通行できる環境が整いますとしています。 通学路の安全対策と一体で児童の事故リスクを低減できる、とも書かれています。

歩道の幅そのものは変わりません。電柱の分だけ使えなかった幅が、使えるようになります。

景観は3つ目の目的として法律に書かれているから

その他の理由 現在の理由 法律・制度

「見た目のため」という理解は、間違いではありません。ただし3つのうちの1つです。

法第一条は「良好な景観の形成等を図るため」と明記し、国土交通省も 電柱や電線は街並みや自然景観を遮る大きな要因となりますとしています。

さらに法第二条は基本理念として、無電柱化の推進が 地域住民が誇りと愛着を持つことのできる地域社会の形成に資するよう 行われなければならない、と定めています。景観は、そこまで含めて位置づけられています。

必要と認められる道路では、電柱を立てること自体を止められるから

その他の理由 現在の理由 法律・制度

理念だけの法律ではありません。

法第十一条は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を 図るために無電柱化が特に必要であると認められる道路について、 国及び地方公共団体が道路法第三十七条第一項による道路の占用の禁止又は制限 その他必要な措置を講ずるものとする、と定めています。

埋めるだけでなく、新しく立てさせないという手も用意されています。

よくある説は本当?

世間で言われている形のまま検証します。断定できないものは断定しません。

根拠不足

「日本に電柱が多いのは、地震が多くて地中化に向かないからである」

今回確認した資料に、この説明はありませんでした。

むしろ法律は逆向きです。無電柱化の目的の**第一に挙げられているのが「災害の防止」**で、 国土交通省も災害に備えて道路啓開の実効性を高められることを利点としています。

「地震があるから埋められない」ではなく、**「災害に備えて埋める」**という 立て付けになっています。

地中化の技術的な難しさやコストについて論じた資料が存在しない、という意味ではありません。 この説を裏づける一次資料を確認できなかったという判定です。

一部正しい

「無電柱化は景観をよくするための事業である」

3つのうちの1つです。

法第一条が挙げるのは「災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等」で、 景観は3番目に置かれています。

景観が目的に含まれること自体は条文どおりです。ただしそれだけだと理解すると、 災害時の道路啓開や歩道の有効幅員という、生活に直結する部分が抜け落ちます。

日本だけ?

国や地域による違いと、その違いが生まれた理由。

地域 状況
日本

国土交通省によれば、無電柱化率は東京23区で8%、大阪市で6%(道路延長ベース、2019年度末)。立ち遅れていると同省自身が書いています。

イギリス(ロンドン)

同省の資料で、ロンドンはヨーロッパの主要都市とともに無電柱化が概成しているとされています。

フランス(パリ)

パリも同様に概成とされています。日本との差は、技術の有無ではなく取り組んできた期間の差だと読めます。

シンガポール・香港

アジアの主要都市についても、香港・シンガポールは概成していると記されています。アジアだから遅れている、という説明は成り立ちません。

もし今のまま電柱を残したら?

現状がそれに近いので、想像ではなく数字で見られます。

国土交通省によれば、日本の無電柱化率は東京23区で8%、大阪市で6%です。 同省は、ロンドン・パリなどのヨーロッパの主要都市や香港・シンガポールなどの アジアの主要都市では無電柱化が概成しているのに対して、 日本は立ち遅れていますと書いています。

自国の役所が自国について「立ち遅れている」と書くのは、そう多くありません。 これは現状肯定ではなく、課題の宣言として読むべき記述です。

目的が、法律の一行目に書いてある

この疑問は珍しく、答えが条文そのものです。

無電柱化の推進に関する法律、第一条。

災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため

3つ並んでいて、景観は3番目です。「見た目のため」という理解は間違いではありませんが、 それだけだと2つ落ちます。

1つ目:倒れた電柱が、道路をふさぐ

国土交通省は、無電柱化によって 激甚化・頻発化する災害に備え、道路啓開の実効性を早期に高めることができます としています。

「道路啓開」は、災害で通れなくなった道を通れる状態に戻す作業のことです。 電線の断線や火災のリスクも軽減され、緊急車両の通行確保や迅速な復旧活動に つながる、と説明されています。

電柱が倒れる可能性がある場所は、多くの場合そのまま道路です。

2つ目:歩道の幅は、電柱で決まっている

2つ目の「安全かつ円滑な交通の確保」は、車だけの話ではありません。

歩道に電柱がある場合と無い場合で、実際に通れる幅がどう変わるか 歩道の全体の幅が同じでも、電柱が立っているとその横をすり抜ける分しか 通れない。ベビーカーや車いすは、この狭くなった部分を通れないことがある。 電柱がある 電柱 すり抜ける分だけ 電柱が無い 全部通れる 歩道の幅が同じでも、実際に通れる幅(有効幅員)は電柱の位置で決まります
国土交通省は、無電柱化により歩道の有効幅員を広げることで、ベビーカーや車いす利用者、高齢者なども安心して通行できる環境が整いますとしています。 電柱を抜くと歩道が広くなるのではありません。もともとあった幅が、使えるようになります。 図の比率は仕組みを示すための模式的なものです。

国土交通省は、無電柱化により歩道の有効幅員を広げることで、ベビーカーや 車いす利用者、高齢者なども安心して通行できる環境が整いますとしています。

ここは言葉に注意が要ります。歩道が広くなるのではありません。 もともとあった幅のうち、電柱が占めていた分が使えるようになるのです。

3つ目:景観、そして「愛着」

法第一条は「良好な景観の形成等」を挙げ、国土交通省も 電柱や電線は街並みや自然景観を遮る大きな要因となりますとしています。

さらに法第二条は、無電柱化の推進が 地域住民が誇りと愛着を持つことのできる地域社会の形成に資するよう 行われなければならない、と定めています。

「きれいにする」ではなく「誇りと愛着」

法律の言葉として、この一文はかなり踏み込んでいます。 景観を美観の問題ではなく、そこに住む人が地域をどう思うかの問題として 扱っているためです。

埋めるだけでなく、立てさせない

法第十一条には、もう一段強い手が書かれています。

無電柱化が特に必要であると認められる道路について、国及び地方公共団体は 道路法第三十七条第一項による道路の占用の禁止又は制限その他必要な措置を 講ずるものとする——つまり、新しく電柱を立てること自体を止められます。

日本は「立ち遅れています」

国土交通省の資料には、こう書かれています。

ロンドン・パリなどのヨーロッパの主要都市や香港・シンガポールなどのアジアの 主要都市では無電柱化が概成しているのに対して、日本の無電柱化率は東京23区で8%、 大阪市で6%と立ち遅れています

自国の役所が、自国について「立ち遅れている」と書いています。 現状の説明ではなく、課題の宣言として読むべき記述です。

「アジアだから」でも「地震国だから」でもないことは、 香港・シンガポールが概成しているという同じ一文から分かります。

何が確認できて、何ができていないか

主張 状態
目的が災害の防止・交通の確保・景観の形成であること 無電柱化推進法 第一条
災害時の道路啓開に効くこと 国土交通省が公表
歩道の有効幅員が広がること 国土交通省が公表
特に必要な道路では占用を禁止・制限できること 同法 第十一条
日本の無電柱化率が東京23区で8%であること 国土交通省が公表
地震が多いから地中化できない 確認できず

「なんとなく景観のため」と思っていたものが、 災害対応と歩行者の通行の話でもあった——条文を1行読むだけで、そこまで見えます。

根拠・出典

URLの実在と、引用が本文に実在するかを機械的に検証しています。

Tier 1 法令・政府・自治体 検証済み

無電柱化の推進に関する法律 第一条(目的)

e-Gov 法令検索(デジタル庁) / 確認日 2026年8月8日

災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため
Tier 1 法令・政府・自治体 検証済み

無電柱化の推進に関する法律 第二条(基本理念)

e-Gov 法令検索(デジタル庁) / 確認日 2026年8月8日

地域住民が誇りと愛着を持つことのできる地域社会の形成に資するよう行われなければならない
Tier 1 法令・政府・自治体 検証済み

無電柱化の推進に関する法律 第十一条(道路の占用の禁止等)

e-Gov 法令検索(デジタル庁) / 確認日 2026年8月8日

無電柱化が特に必要であると認められる道路について、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三十七条第一項の規定による道路の占用の禁止又は制限
Tier 1 法令・政府・自治体 検証済み

無電柱化の推進

国土交通省 道路局 / 確認日 2026年8月8日

激甚化・頻発化する災害に備え、道路啓開の実効性を早期に高めることができます
Tier 1 法令・政府・自治体 検証済み

無電柱化の推進

国土交通省 道路局 / 確認日 2026年8月8日

無電柱化により歩道の有効幅員を広げることで、ベビーカーや車いす利用者、高齢者なども安心して通行できる環境が整います
Tier 1 法令・政府・自治体 検証済み

無電柱化の推進

国土交通省 道路局 / 確認日 2026年8月8日

電柱や電線は街並みや自然景観を遮る大きな要因となります
Tier 1 法令・政府・自治体 検証済み

無電柱化の整備状況(国内、海外)

国土交通省 道路局 / 確認日 2026年8月8日

ロンドン・パリなどのヨーロッパの主要都市や香港・シンガポールなどのアジアの主要都市では無電柱化が概成しているのに対して、日本の無電柱化率は東京23区で8%、大阪市で6%と立ち遅れています

この記事は一般的な仕組みを解説したものです。個別の判断については専門家にご相談ください。

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